まだ市場は大きくないが、その発想は従来の貸出金の管理の概念を覆すものである。 従来銀行は貸出の検討にあたって、返済が間違いないものに与信し、いったん貸出を行ったものはあとで債務者の信用状況が悪化しても簡単にその簿価を変えることはできなかった。
例えば銀行が企業Aの社債を10億円保有しており、同時に同額の貸出も行っていたとする。 仮にA社の信用状態に不安が生じて、市場での社債の価格が低下し9億円になったとしよう。
1億円の損失である。 ところが銀行の貸出債権の額は依然として帳簿上は10億円に留め置かれる。
返済は確実だという確信を覆すのに十分な証拠が揃わないかぎり、現行の会計制度や税制のもとでは債権の簿価を減額し償却することはそう簡単ではない。 社債ではすでに損が出ているのに貸出は損を認識しないという仕組みでは、いったん貸出を行えばその後の管理はどうしても甘くなりやすい。
ある米銀のトップがいうように「われわれの扱う商品のうち貸出が最もリスクが高い」のである。 しかし貸出債権の流動化が一般的になれば、債権の価値はそのときどきの時価による評価にさらされざるをえないことになり、事態は一変すると考えられる。
通貨スワップでは最後に元本交換があるのでリスクはゼロに収束しない銀行の営業姿勢と金利設定信用リスクが高ければ貸出金利は高くなるというが、ハードルは信用リスクの定量化、銀行間の競争があるなかでそう理屈どおりいくだろうか。 例えば審査担当部がこの企業は信用リスクが高いので基準となる金利に0.5%の上乗せが必要だと主張したとしよう。
現場の支店長は他行に勝つためには0.2%の上乗せしか受け入れられないと切り返す。

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